展覧会

蜘蛛の糸

2016.10.15-2016.12.25

2016.10.15-2016.12.25

Spider's Thread - Spinning images of Japanese beauty

Spider's Thread - Spinning images of Japanese beauty

塩田千春
2008年 ,
Torstrasse166_Das Haus der Vorstellung,Berlin,photo by Sunhi Mang
小茂田青樹
<虫魚画巻> 1931年(部分)
東京都国立近代美術館蔵(前期展示)
月岡芳年
<『新型三十六怪撰』より「源頼光土蜘蛛ヲ切ル図」>1982年
富山市郷土資料館蔵(後期展示)
旭玉山
<葛に蜘蛛の巣図文庫>明治時代
清水三年坂美術館蔵
熊谷守一
<地蜘蛛>1963年
メナード美術館蔵
鴨居玲
<蜘蛛の糸<芥川龍之介より>1971年
ウッドワン美術館蔵
小泉明朗
<悲劇の誕生>BMWテイト・ライブ・パフィーマンス・ルーム
2013年 Photo: Anna Escobar for Tate Photography ©Meriro Koizumi&Tate
加藤翼
2015年
©Tsubasa Kato Courtesy of the artist and MUJIN - TO Production
ミヤギフトシ
<1970>2016年
Photo: Kenji Takahashi

蜘蛛は実にミステリアスな生き物です。足が8本で毛むくじゃら。その見た目の不気味さから、蜘蛛をきらう人は少なくありません。しかし、蜘蛛が編み出す繊細で美しい糸の軌跡は、時に人を釘付けにします。蜘蛛がつくる大きな円網の幾何学的な造形美、あるいは霧の日の水滴を連ねた真珠の首飾りのような網の美しさに惹きつけられた、そんな経験を誰もが一度はしたことがあるのではないでしょうか。このような蜘蛛のもつ怪しい魅力と象徴性、蜘蛛の糸の謎や神秘は、古くから芸術家たちを魅了してきたのです。
そもそも蜘蛛は4億年もの進化の歴史を持つといわれています。連綿として続く生存競争のなかで、蜘蛛は厳しい自然環境に耐え、生き延びるために、命綱としての糸に特別な性質を与えてきました。今やそれは最新の高分子化学をはじめ、さまざまな研究分野の可能性をひらくものとして注目されているほどです。自らの内から紡ぎだされ、空間を編成し、ターゲットをとらえて離さない蜘蛛の糸の謎。蜘蛛が繰りなすこの魔法の糸は、人の手によって簡単に排除されうる脆弱さも含め、まさにアーティストが創り出す芸術活動のメタファーのようです。
この展覧会では、国内を中心とした江戸から現代の絵画、彫刻、工芸、写真、映像、絵本、インスタレーションといったさまざまな表現を、「蜘蛛の糸」というキーワードからひろがる幾つかの視点から紹介し、その謎めいた魅力を探ろうとするものです。蜘蛛/蜘蛛の糸を注意深く観察して捉え、記録、描写した作品をはじめ、蜘蛛の糸のイメージや要素を比喩的に用いたり、あるいは増幅、変容させたりして生まれた作品、蜘蛛の巣網のごとく複合的につながりあう現代社会を探究するような作品、そして芥川龍之介の『蜘蛛の糸』をめぐる作品まで、「蜘蛛の糸」というテーマから導かれ、展開する多様な表現に焦点を当てます。そこでは、この国独自の美意識や作家の豊かなイマジネーションが浮かび上がるとともに、私たちを取り巻く世界の見方について、さらには私たちの知覚をひらく新しい表現の可能性について、多くの示唆を与えてくれることでしょう。

○章立て(予定)
Ⅰ.蜘蛛の糸をみつめて
山本渓山、飯室昌栩、柴田是真、小茂田青樹、速水御舟、熊谷守一、新宮晋、中谷芙二子、満田晴穂 ほか

Ⅱ.象徴としての蜘蛛の糸
月岡芳年、西川祐信、山本芳翠、上村松園、福沢一郎、山口薫、橘小夢、工藤哲巳、荒木経惟、森村泰昌、猪瀬光、小柳裕 ほか

Ⅲ.芥川龍之介 『蜘蛛の糸』
鴨居玲、秦テルヲ、籔内佐斗司、戸谷成雄、イケムラレイコ、ムットーニ、小林正人、小泉明郎、青木千絵 ほか

Ⅳ.アラクネの末裔
草間彌生、田中敦子、塩田千春、手塚愛子 ほか

Ⅴ.蜘蛛の巣のように立ち現れるものたち
浅野弥衛、秋山陽、青木野枝、狗巻賢二、小川信治、額田宣彦、さかぎしよしおう、法貴信也ほか

Ⅵ.見えない糸、希望の糸
人工合成クモ糸繊維「QMONOS」、岡本柳南、加藤翼、ミヤギフトシ ほか

会期中、一部展示替があります。
前期展示:10月15日(土)-11月20日(日)、後期展示:11月22日(火)-12月25日(日)

開館時間 10:00-17:30(入場は17:00まで)
休館日=月曜
会場

豊田市美術館 展示室1−4、8

主催

豊田市美術館、朝日新聞社

協力

Spiber株式会社、株式会社ゴールドウイン

観覧料

一般1,000円[800円]/高校・大学生800円[600円]/中学生以下無料
[ ]内は前売券及び20名以上の団体料金
*障がい者(介添者1名)、豊田市内在住・在学高校生、豊田市内75才以上は無料[要証明]
*前売券は、チケットぴあ(お近くのチケットぴあのお店、サークルK・サンクス、セブン-イレブン各店舗)[Pコード:767-873]、ローソンチケットで、10月14日まで販売。
豊田市美術館での販売は、9月25日まで。(9月26日-10月14日まで休館のため)
*以下のいずれかをご提示いただければ、当日の本展観覧料を100円割引します。ただし、他の割引との併用はできません。
 ●「あいちトリエンナーレ2016国際展」有料チケット
 ●蜘蛛や蜘蛛の巣をモチーフにしたアクセサリーや衣
  服(ただし、生きた蜘蛛は対象外です。館内に持ち
  込めません)

前売券

チケットぴあ(お近くのチケットぴあのお店、サークルK・サンクス、セブン-イレブン各店舗)[Pコード:767-873]、ローソンチケットで、10月14日まで販売。
豊田市美術館での販売は、9月25日まで。(9月26日-10月14日まで休館のため)

関連プログラム

■講演会
「クモの賢さと美しさ」
講師:奥本大三郎(フランス文学者、埼玉大学名誉教授、NPO日本アンリ・ファーブル会理事長、ファーブル昆虫館館長)
日時:10月29日(土)14:00−15:30
会場:美術館1階講堂
定員:172名 先着順

「小袖にみるクモの巣文様」
講師:藤井享子(東海大学、群馬県立女子大学非常勤講師)
日時:12月17日(土)14:00−15:30
会場:高橋節郎館内ワークショップルーム
定員:50名 先着順

■映画上映会
日本のアニメーションの先駆者、政岡憲三と大藤信郎の名作を特別上映します。
01.『くもとちゅうりっぷ』(監督:政岡憲三、1943年、16分、白黒アニメーション/協力:松竹株式会社)
02.『蜘蛛の糸』(監督:大藤信郎、1946年、11分、白黒影絵アニメーション/協力:東京国立近代美術館フィルムセンター)
日時:11月12日(土)、12月10日(土)いずれも14:30より(開場は14:00)
入場無料
会場:高橋節郎館内ワークショップルーム
定員:50名 先着順

■関連コンサート
「STRINGRAPHY Concert」
出演:水嶋一江 ストリングラフィ・アンサンブル
日時:11月27日(日) 開場13:30 開演14:00
当日正午から配布する整理券が必要です。
詳細はこちら(PDF)

■学芸員によるギャラリートーク
11月5日(土)、26日(土)、12月23日(金・祝)いずれも14:00より
1階チケットカウンター前にお集まりください。
参加には当日の企画展観覧券が必要です。

■作品ガイドボランティアによるギャラリーツアー
木曜日を除く毎日14:00より(土・日・祝日は11:00と14:00より)
1階チケットカウンター前にお集まりください。
参加には当日の企画展観覧券が必要です。
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