展覧会
2021.07.10-2021.09.20
2021.07.10-2021.09.20
モンドリアン展の開催にあわせ、「世界をどのように見るか」という視点から、2つのテーマ展示を行います。
1つは、寺内曜子(1954〜)によるインスタレーション「寺内曜子 パンゲア」です。1979年にイギリスに渡り、セント・マーチンズ美術学校でアンソニー・カロに学んだ寺内は、「モノ」として提示されてきた従来の「彫刻」に疑念を抱くようになると、以来、一貫して「コト」の現れとしての「彫刻」に取り組んできました。そのなかで寺内が変わらずに考えてきたのは、私たちの認識がいかに不確かで部分的、一面的に過ぎないかということです。
今回、豊田市美術館の展示室2全体を使って試みられるのも、まさに、私たちが見ているのは世界のほんの一部でしかないということを実感させるものです。
正方形の展示室の壁に水平に引かれた赤い線は、展示室からさらに屋外へと延びていき、私たちは、その行く先を知ることはできません。一方、展示室の中央にある小さな球は、小口を赤く塗った正方形の紙を丸めたものですが、 赤い線は入り組んでいて、これもまた、どんなに近づいても一続きのものとして捉える ことができません。タイトルにある「パンゲア」は、大陸移動説において、大陸が現在のように分裂する以前 の一つだった時代の姿に与えられた名前(パン=全ての+ガイア=土地)に由来しますが、もはや失われて、知りようのない一続きの大陸の名の使用にも、寺内の考えが象徴的に表れているでしょう。
寺内の作品を介して、私たちの世界の見方が少しでも刷新される機会になればと思います。
もう1つは、コレクションによる展示「ひとつの複数の世界」です。モンドリアンや彼が参加したデ・ステイルでは、抽象に基づく造形制作を通して、絶対的な世界へと到達することが目指されました。ただし、それは必ずしも特別なことではありません。芸術家は多かれ少なかれ、造形を介して、まだ見ぬ世界へ触れることを試みてきたと言えます。ひとつに見える世界のなかに複数の世界があり、そうした複数性によって、ひとつの世界が成立している。展示では、コレクションに寺内曜子の作品を4点加え、複数世界への視座を持ち、私たちの認識の外部を想像させてくれる作品を紹介します。
開館時間 | 10:00-17:30(入場は17:00まで) 休館日=月曜 8月9日、9月20日は開館 |
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観覧料 | 常設展観覧券でご覧いただけます。 |