展覧会

愛・知のリアリズム 宮脇晴の周辺

2014.01.07-2014.04.06

2014.01.07-2014.04.06

Aichi Realism - Haru Miyawaki and His Milieu

Aichi Realism - Haru Miyawaki and His Milieu

岸田劉生<林檎三個>1917年 個人蔵
木村 荘八《壺を持つ女》1915年 愛知県美術館蔵
水野正一《少女》1921年 名古屋市美術館蔵
山田睦三郎《樹間風景》1919年 愛知県美術館蔵
宮脇晴《包帯のある自画像》1981年 豊田市美術館蔵
宮脇晴《戯れる》1954年 豊田市美術館蔵

宮脇 晴(1902-85)は愛知が生んだ代表的な洋画家の一人です。豊田市美術館はその作品をまとめて収蔵し、常設している美術館でもあります。
今展は当館所蔵の作品を中心に、他館で所蔵する優品を加え、さらにはその画業の出発点で大きな影響を受けた、岸田劉生らの「草土社」や、それに刺激を受けて結成された地元「愛美社」の代表作家たちの作品を展示して、宮脇の全体像を振り返って見ようとするものです。
構成は大きく二つに分けて、第一部を「草土社」の影響のもとにある1920年代までの写実の時代、それ以降の、ひたすら家族を描き続ける1930年代から没年までの時代を第二部とします。

<第一部>知のリアリズム ~劉生と「愛美社」の画家たち

名古屋に生まれた宮脇は、幼くして父や兄弟姉妹を亡くして母一人子一人となり、自身も病気のため知多の古見に転地療養します。そこで生涯の師であり、仲間でもあった大澤鉦一郎と出会い、本格的な絵の道に進むことになります。折りしも細密描写を基本とする岸田劉生らの写実的洋画グループ「草土社」の名古屋展が開催され(1917年)、それに衝撃と刺激を受けた大澤や宮脇は、同年代の同志たちと「愛美社」を結成し、切磋琢磨しながら写実表現に挑んでいきます。リアリズムが単なる描写に終わらない、時代の希望であった近代の若き作家たちの、熱情にきらめく作品を紹介します。

<第二部>愛のリアリズム ~家族への視線

グループとしての「愛美社」の活動からメンバー個々の表現追及への移行、細密描写を少しずつ離れつつあった宮脇自身の表現、そして決定的な1929年の劉生の死亡。 1930年代以降の宮脇の表現は、それまでのものとは大きく違った方向へ舵をとります。
画題の中心は妻、子ども、孫、自分。家族愛や親子愛、兄弟愛を前面に押し出し、画風もそれにつれて求道的な厳しさや細部までの写実から、大らかでユーモラスなものに変化してきます。
第二次世界大戦を挟んでの大きな社会体制の変化ということも勿論あったでしょうが、それ以上に宮脇の家族に寄せる思いがあってのことでしょう。

客観的や主観的な視点の違いはあっても、第一部、第二部ともに宮脇 晴の人間に対する興味と深い愛にあふれています。それは当館のこれまでの収集や展示の重要な柱のひとつでもあります。 この展覧会でも作品から伝わるメッセージに耳を傾けてみてください。

■Highlights

・Haru Miyawaki (1902-85) was a leading painter from Aichi in modern age.
・Toyota Municipal Museum of Art’s collection of his work is the largest possessed in museums.
・This exhibition is an attempt to provide a complete picture of Miyawaki’s works by supplementing works from the Museum’s holdings with outstanding pieces on loan from other collections.

1st part | Realism of Knowledge | Ryusei Kishida and painters of “Aibisha”

In 1917, the exhibition of leading realism painters in Tokyo “Sodosha” including Ryusei Kishida was held in Nagoya. It left deep impact on Miyawaki and his mentor like Seiichiro Osawa, so that they formed a painters group “Aibisha” and challenged new realism expression. For those young painters, realism did not mean only figurative or representational depiction, but also new hope of the time in modern age and an object of their passion.

2nd part | Realism of Love | Painting Family

After the death of Ryusei Kishida, Miyawaki changed his style from minute realism into modernism style with bold lines and flat color. And the subject of his paintings focuses on his family, his wife, children, grand children and himself. His paintings of this period shows his love for the family thorough charming composition and warm color.

開館時間 10:00-17:30(入場は17:00まで)
休館日=月曜
主催

豊田市美術館

共催

中日新聞社

観覧料

一般500円[400円]/高校・大学生400円[300円]/中学生以下無料
[ ]内は20名以上の団体料金
*障がい者、豊田市内在住・在学高校生、豊田市内75才以上は無料[要証明]

●記念講演「岸田劉生と愛美社」
山田諭 (名古屋市美術館学芸員)
2月23日[日] 午後2:00-3:30

●スライドトーク
吉田俊英(当館館長)
2月8日[土] 午後2:00-3:30

●記念コンサート
2月22日[土] 午後2:00-3:00

※いずれも会場は美術館 講堂(定員172席)
当日正午より1階チケットカウンターで整理券を配布します

●学芸員による作品解説
1月12日[日]、3月1日[土]、3月16日[日]、4月5日[土]
午後2:00より

●作品ガイドボランティアによるギャラリーツアー
木曜日を除く毎日午後2:00より(関連事業開催日は午前11:00より)
いずれも1階チケットカウンター前にお集まりください

※関連事業の参加には、当日の観覧券が必要です。

●同時開催
「手探りのリアリズム 村岡三郎の方へ|かわりゆくリアル」1月7日[火]-4月6日[日]
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