Collection

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イヴ・タンギー (いヴ・たんぎー)

[1900 - 1955]

失われた鐘 [1929年]

  • 油彩、カンヴァス
    64.2×53.2cm

[音声ガイド]

どこともはっきりとしない茫ぼうばく漠とした空間に、これもまた生命体とも非生物とも 判然としない有機的な物体が漂っています。それは原始の生命が ちょうりょう 跳梁する世界でしょう か、それともほとんどの生物が死に絶えた終末の世の姿でしょうか。タンギーは、シュル レアリスム(超現実主義)の作家らしく意識下の非合理な領域を探り、独特な風景を描き 出しています。 画面中央上部、あるいは左下に浮かぶ物体の黄金色の色彩は、タイトルの「失われた鐘」 を連想させます。教会の鐘、学校の鐘など儀式的であり、また日常生活でも身近にある鐘 がいつの間にか居場所を失い、どことも知れない空間をさまよっている光景は、夢幻的で ノスタルジックな印象を与えます。

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