Collection

コレクション

安田 靫彦 (やすだ・ゆきひこ)

[1884 - 1978 ]

梅花定窯瓶 [1963年]

  • 膠彩、紙
    53.0×45.5cm

[音声ガイド]

花と古美術との組み合わせを描く静物画は、歴史画や人物画とともに安田靫彦にとって重要な画題でした。花の中でも梅を好んだ靫彦は、画室の庭に様々な珍しい梅を植えて写生し、優れた作品を多く残しました。 「たらしこみ」という技法で描かれた朱色の背景が、白い花瓶と咲きほこる紅白梅の花、四方に広がる黒い枝を引き立たせています。白、赤そして黒の程よいバランスからなる色彩対比と、明快な描線で構成されたこの作品は、靫彦の特徴をよく表しています。白い花瓶は中国や朝鮮の古い焼物を愛した靫彦の所蔵品ですが、図柄は作品のために描き加えられました。題名にある「定窯」は、景徳鎮(けいとくちん)と並び中国宋代の白磁を代表する窯の名前です。

波上燄灮 [1942年]

  • 膠彩、紙
    151.0×56.0cm

風来山人 [1930年]

  • 墨、膠彩、紙
    78.0×118.0cm

[音声ガイド]

「風来山人」は江戸時代の博物学者・平賀源内の号です。この作品では源内が、彼の発明品で最も有名なエレキテル(静電気をおこす装置)を披露する場面が描かれています。男たちは髻(まげ)を細く結って洒落気がありますが、表情を見れば誰が源内なのかわかるでしょう。 安田靫彦は東洋や日本の古典をテーマとした歴史画や人物画を得意とした画家です。この作品では墨の濃淡や洗練された線による画面づくりを意識して、細い輪郭線とは対照的に夏羽織には大きな筆さばきで薄墨を効かせています。着物の色味をおさえることで簡潔で清楚な線が一層引き立ち、登場人物それぞれの心境とあいまって画面に緊張感が生まれている作品です。

一覧に戻る

コレクション・オーディオガイド