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胸元で数値を刻むデジタルカウンター。この数値が何を意味しているのかは、作品のタイトルを見れば明らかでしょう。題名の「ラディエーション」とは放射能のこと。つまりこのヒト型の彫刻作品は、作家自身が実際に装着することができる放射能防護服として、1996年に制作されました。眼球や生殖器などを連想させる部位にはガイガーカウンター(放射線 検出装置)が装着されていて、放射線を感知するたびに瞬間的に強く光り、その数値をカウントしています。黒い2本の角、緑のベルトに赤いブーツは「鉄腕アトム」のデザインから採られていますが、どこか相撲力士のようなユニークなフォルムです。原子力をエネルギー源として動く少年ロボット・アトムが、放射能から身を守る防護服としての機能を持つこの作品のモティーフになっているというのは、なんとも皮肉なものです。
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