[音声ガイド]
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写っているのは薬品用のガラス瓶です。中身はあらかた使われ、上部には結露してできた水滴が集まっています。画面の下を見ると、ななめ後ろから射した光がガラスと液体とを透過して光と影の模様をつくっているのに目がいくでしょう。なにげない光景ですが、さまざまに変化して多くの表情を見せる液体と、わずかな角度の違いで見え方が変わる光の様に気づかされます。変化する被写体と光の無限の組み合わせは、黒い背景も相まって、レンズを通した光がフィルムのうえで像を結び、写真が生まれるプロセスを思わせます。 山本糾は、この〈bottles〉シリーズ以来、移ろいやすい水の姿を写し続けてきた写真家です。山奥の池や滝、市街を流れる川、工場から放出される水蒸気、縷々(るる)転々(てんてん)と変化する水のあり様を写す制作の原点がこのシリーズにあるといってよいでしょう。