untitled [2007年]
[音声ガイド]
淡い肌色に、ピンクや水色のカラフルな色で描かれた絵画は、軽やかな印象を与えます。 上の方には歪んだ格子柄、そして左右にはリボンのような形が外に伸びて、動きが生まれています。 山のような形の大小の三角形は、左側は雨を降らせる雲を、右側は蝶のような形を戴き、その前に湖か大地を思わせる空間が広がっています。 杉戸洋の絵画は、私たちが住むこの捉えがたい世界の風景画です。作家の作品にしばしば登場する、遠近感を生む蝶のような形は、 その三角形に挟まれた四角形が、別の世界への入り口だと作家はいいます。 具象と抽象、物語と絵画の間を行き来して、絵本で出会うような詩情と 幾何学的な構図がひとつになった世界がここに現れています。