[音声ガイド]
1986年、カルは、生まれつき目の見えない人たち23人にインタビューしました。 「あなたにとって美しいものは何か」と問いかけたのです。 彼女は、そこで聞き出した回答をテキストと写真のかたちで示し、回答者のポートレイト写真と並べて展示したのです。 彼らが語った言葉をじっくり読んでみましょう。 ここで私たちは、「美しいもの」とは、必ずしも視覚的なものに限らないことを知ります。 さらに「美」とは、人と人、人と対象との間に生じるものであるということも認識するでしょう。 カルは、彼らが答えた美のイメージを忠実に表した写真を棚の上に置いています。 しかし、生まれつき目の見えない人たちにとっての美のイメージを、どうすれば写真に収めることができるのでしょうか。 この作品は、「美とは何か」「見るとは何か」を問い直し、他者とのコミュニケーションの可能性と困難さについて、大きな気づきを与えてくれるのです。