[音声ガイド]
ヤシの木やシダの葉に雪が降り積もっています。《スノウ・ジャングル》は、南国のジャングルが雪景色に変わった様を描いた風景画です。ジャングルは、降水量や温暖さなどの様々な条件で多様な生物が生息し種が生育する、複雑な生態系を成しています。曽根裕の作品にしばしば登場するジャングルは、ひとつの意味に集約されず、多様さと複雑さの中に豊かな生命を孕む芸術を象徴しています。曽根は自身の活動を、「どこかにありそうでどこにもない風景」を探す旅であると語ります。色濃い緑に溢れかえったジャングルに真っ白な雪が降り積もった光景が、目の前に現れたとしたら。作品を観る私たちは、それがフィクションであると知りつつも、到達しえないはずのものへの夢想を掻き立てられるのです。