[音声ガイド]
総重量は60トン。豊田市美術館でもっとも重い作品です。緩やかなカーブと傾きが、直線 を繰り返す美術館正面の空間に緊張感を与えています。 リチャード・セラは鉄工所で働く父親のもとで育ち、自身も若いころ同じ仕事についてい ました。鉄の素材をそのままに見せながら、空間に対峙するような、巨大な作品で知られ ています。 遠くから眺め、また、中に入って上を見上げてみてください。あるいはそこで耳を澄ませ てみましょう。そのたびごとに私たちの感覚が切り替わっていきます。倒れそうな形に不 安を感じ、鉄に挟まれて世界から切り離されたように感じるかもしれません。この作品が あることによってはじめて生まれる感覚。作家はそれを意識して制作しているようです。
