[音声ガイド]
1974年、ミラノのある画廊でパフォーマンス「中断された歌」が行われました。その中に目隠しをした裸の女性が、ベッドに横たわりベッドボードに据えられた黒板に文字のようなものを書き込む一幕があります。この黒板にも、読み取りにくいですが、イタリア語で「canto suspenso=中断された歌」と書かれています。 私たちが人生の多くの時間を過ごすベッド。そこで私たちは夢を見たり、愛を交わしたりします。しかし、上から照らす明かりと、すっと伸びるバラの組み合わせは、どこか大きな風景のようでもあります。ベッドが舞台となり、そして大地となる。ここには目隠しをした女性はいませんが、それぞれの要素が、現実と非現実のあいだにまさしく中断されたまま、いうなれば宙づりになって、さまざまな情景を喚起します。