Collection

コレクション

中村 哲也 (なかむら・てつや)

[1968 - ]

不知火 [1998年]

  • FRP、ウレタン塗料
    90.0×175.0×90.0cm
  • ©NAKAMURA Tetsuya, 2018

東京藝術大学大学院美術研究科で漆芸を学んだ中村哲也。彼は、表面加工によって最大限の価値を導き出す漆の伝統的技法に対する考察から自身の表現活動をスタートさせます。モノの表面性に着目し、形と装飾に喚起される人間の感情との関係を探る作品を一貫して制作してきました。 突如として展示室に出現した火の玉のような作品。それはうねりながら燃えあがる炎を図案化した、いわゆる“ファイヤーパターン”を用いた張りぼての立体です。車やバイクの外装を派手に飾り、力強く勇ましく見せるための装飾が、飾るべき本体から解放され、それ自体で己を誇示しているすがたともいえるでしょう。漁火(いさりび)の蜃気楼といわれる「不知火」をタイトルにしたこの作品は、表層の精緻な仕上がりと美しさで観る者を圧倒しつつ、皮肉な視点を同時に持ち合わせているのです。

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