Collection

コレクション

村瀬 恭子 (むらせ・きょうこ)

[1963 - ]

Flowery Planet [2009]

  • 油彩、綿布
    240.0 x 190.0 cm

Milky Cave [2009]

  • 油彩、色鉛筆、綿布
    190.0 x 320.0 cm

[音声ガイド]

 鍾乳石がだらりと垂れ落ちる洞窟の中。ふたりの少女が白い渦のようなものに包まれています。その渦は、彼女たちの身体と周囲との境界線を溶かしながら流れてゆきます。そして少女たちもまた、それを取り込み、ひとつになろうとしているようです。  村瀬恭子は、自身の制作についてこう語ります。「絵の中に深く潜り込んだり、遠く離れて客観的に見たりを、何度も繰り返します。登場する少女に、自らの身体感覚を重ねて描いたかと思えば、自分ではない自分を、鳥籠の外から眺めるような感じだったり」。わたしたちは村瀬のように、この世界を外から離れて楽しむことも、少女をきっかけに作品の中へ入り込み、洞窟を肌で感じることもできるのです。では、もう一度この絵画を「感じて」みましょう。どんな温度が、湿度が、肌に触れてくるでしょうか?

Swallows 2 [2009]

  • 油彩、色鉛筆、綿布
    190.0 x 145.0 cm

Swallows 3 [2009]

  • 油彩、色鉛筆、綿布
    190.0 x 145.0 cm

White Coat [2009]

  • 油彩、色鉛筆、綿布

Watering Place [2008]

  • 油彩、色鉛筆、綿布
    170.0 x 210.0 cm

Good bye [2007]

  • 油彩、色鉛筆、綿布
    140.0 x 120.0 cm

[音声ガイド]

moth paradise [2006]

  • 水彩、油彩、色鉛筆、鉛筆、油性ペン、紙
    39.8 x 29.8 cm

Tree Climbing at Night [2006]

  • 水彩、色鉛筆、鉛筆、紙
    39.8 x 29.8 cm

Nap (L) [2003]

  • 油彩、綿布
    100.0 x 80.0 cm

[音声ガイド]

赤とわずかに青を含んだグレーの絵具とが、勢いのある筆さばきで画面全体を満たしています。それらは渦巻く大気のようで、下方に横たわる少女を取り囲み、覆いかぶさろうとしているかにも見えます。その周りを飛び交う羽虫。硬く目を閉じた少女の表情は険しく、「nap(うたたね)」というには全体に不穏な雰囲気が漂っています。 絵画とは言うまでもなく視覚にたよった芸術です。一方、描かれた少女は目を閉じ、周囲の世界を見ることはできません。しかし、激しい筆の動きからは、少女が、風を、その温かさや冷たさ、湿り気を肌に感じていることがしぜん自ずと想像されます。それはひるがえって、私たちに、目で見る以上の感触とでもいうべきものをもたらすでしょう。

Guru-guru [2002]

  • 油彩、綿布
    70.0 x 61.0 cm

[音声ガイド]

男の子とも女の子ともとれない人のすがた。瞳を閉じて、伸びやかな筆致で描かれた水のようななかで、気持ちのよさそうに漂っているのか、あるいは逆に、翻弄されているようにも見えます。 きゅっと閉じた目や、結ばれた唇といった顔をのぞけば、簡単にまとめられた手を含め、体ははっきりと描き込まれていません。かえってそのために、周囲をとりまく、茶色の髪や、水色やグレーの絵具の表情が、私たち観る者に温度や肌触りなど、さまざまな感覚を呼び起こします。 村瀬恭子は、ある古い映画のなかに出てきた、ドラム缶のようななかで人物が水に潜るシーンを見て、こうしたモチーフによる絵画に取り組むようになったといいます。のちに村瀬は森や洞窟の情景へと絵画を展開していきますが、その前に、柔らかな身体に身近な感覚を捉えようと試みています。

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