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〈グラスを通した都市〉は、ヴィデオ・カメラのレンズの前に透明な丸いグラスを取り付 け、市内を走る自動車の助手席から撮影した映像を左右に二つ並べた映像作品のシリーズ です。これまでにデュッセルドルフ、ニューヨーク、モスクワ、東京、ブリスベン、そし て2008年にはこの美術館での個展のために豊田でも制作されました。これは、その第一作 目として、作家が暮らす街でもあるデュッセルドルフにて制作されたものです。 すれ違う自動車や周囲の建物の形が液体のように溶け、光の飛翔となって映像の外側へと 消え去ります。この作品は、単純な手法ながら、普段の街とは全く異なる光の情景を映し 出し、見慣れた都市への私たちのまなざしそのものへと、あるいは私たちが都市のなかを 移ろっていく、移動することそのものへと意識をいざないます。
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