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1890年代のマックス・クリンガーは、彫刻の表面を磨いたり着色したりすることで、彫刻 作品に絵画の要素を持ち込むことを試みました。クリンガーは生まれ故郷でもあるライプ ツィヒのアトリエに大理石を含む様々な種類の石を保管し、偶然に見つけた石の形態に着 想を得て、しばしば作品に展開していったといいます。 写実的でありながら、どこかはかなげで恍惚とした表情の女性。髪だけではなく顔面や首 にもやわらかな色彩が施されています。閉じられた眼とその表情から、この作品はクリン ガーが1909年に制作した《ブラームス記念碑》にみられるミューズのモデルともいわれて います。