[音声ガイド]
松江泰治はこれまで、世界各地へ赴き、その土地を撮影した写真作品を発表してきました。松江が選ぶ被写体は、岩肌がむき出しの山間地、木々の生い茂る森林地帯、高層ビルが立ち並んだ都市、古い家並みの広がる街など、あくまでその土地の表面、いわゆる地表です。撮影においては、構図に地平線を含めない、被写体に影が生じない順光で実行するといったルールを自らに課し、一貫して、写真本来の性質である平面性を追求してきました。そうすることで、コントラストや奥行き、中心と周縁との区別を周到に排除し、映り込んだすべての要素が等価に扱われた独特の画面が生み出されるのです。 この作品は、南アメリカの太平洋側を走るアンデス山脈を被写体としたものです。