Collection

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熊谷 守一 (くまがい・もりかず)

[1880 - 1977 ]

裸婦 [1961年]

  • 油彩、カンヴァス
    40.2×52.2cm

[音声ガイド]

ピンク色の画面に横たわる裸婦。鮮やかな色彩と太い輪郭線による単純化された人体が印象的です。しかししばらく画面を見ているうちに、人体はゆるやかなかたちの色面へとさらに変容していきます。背景も人体も均一に同じ方向へ塗り、輪郭線の部分を丁寧に塗り残すことでさらに色面感を強めるのが、熊谷独自の表現です。 後年、熊谷は「景色を見てゐ(い)るでせ(しょ)う。そうすると、それが裸体になって見えるのです。つまり景色を見てゐ(い)て、裸体が描けるんです。同じや(よ)うにまた裸体を見てゐ(い)て、景色が描けるのです。」と述べています。熊谷にとって風景も人体もちがいはなく、いかにかたち全体を塊としてとらえて表現できるかが重要だったのです。

シヂミ蝶 [1958年]

  • 油彩、板
    23.6×32.8cm

[音声ガイド]

熊谷の作品といえば、赤い輪郭線によって色鮮やかな形が明快に区切られた、いわゆる「モリカズ様式」で知られています。一見すると、ものの形を単純化して描いただけのようにもみえますが、よく見ると、赤い輪郭線が一段窪んでいて、それぞれの色面が明確に切り離されているために、描かれたもの同士の関係はかなり曖昧です。そもそも、茶色の部分は地面を表していて、黄色の水溜まりは、そこにできたものなのでしょうか。蝶も、水溜まりの上空を飛んでいるのか、水上に留まっているのか不確かです。 熊谷は、簡潔に見える画面のなかに、それぞれの事物に固有の空間と時間を描き込んでいます。それらが互いに関係しては離れることで、小さな画面が、見飽きることのない豊かな作品になっているのです。

高原の秋 [1935年頃]

  • 油彩、板
    37.9×45.5cm
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