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この椅子は、もともとホフマンがウィーンにあった療養施設サナトリウム・プルカースドルフのためにデザインしたものです。真っ直ぐな座面と背もたれに、新しい曲木の技術を用いたアール状の肘掛けを組み合わせたシンプルな形態といい、背もたれの傾きを調整できる機能といい、「座るためのマシーン」の名にぴったりではないでしょうか。 とはいえ、機能と同様に見た目を重視していたことも確かです。背もたれの格子や側面の縦長のスリットのおかげで、ともすると重々しくなってしまう木の椅子には軽やかさが加わっています。また各部位のつなぎ目にある、通称「ホフマン・ボール」も、単に強度を持たせるためでなく、見事なアクセントになっていて、ホフマンの高い美意識を感じさせます。
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平らな持ち手と先端の小さな4つの球が特徴的な銀製のカトラリーです。ヨーゼフ・ホフマンは、1903年に、生活と芸術の総合を目標にウィーン工房を結成しました。このカトラリーは、ウィーン工房に出資し、実質的な最初の経営者となったヴェルンドルファー夫妻のために製作されたものと同一デザインで、「フラットモデル」の通称をもちます。夫妻は、ホフマンとコロマン・モーザー、イギリスのマッキントッシュ、マクドナルド夫妻に依頼して自邸をコテージ風に改築し、工房には106セットものカトラリーに加え、煙草入れや花入れなど少なくとも97点にのぼる銀製品を発注したといいます。 ホフマンはこの時期しばしば、球のモチーフをデザインに用いています。カトラリーの先端に光る球は、ホフマン作のアイコンとして機能すると同時に、造形に繊細さを添えています。
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ホフマンは、生活のためのデザインをモットーに、1903年「ウィーン工房」を設立しました。この照明器具は、1904年にウィーン工房が初めて建築から室内装飾までを請け負った療養施設サナトリウム・プルカースドルフのために、ホフマンがデザインをし、工房で製作をしたものです。 ホフマンは、金属製品を数多くデザインしましたが、ここでもフレームには合金の洋銀が使用されています。正方形・正三角形・長方形を組み合わせた、初期ウィーン工房に特徴的な幾何学形態のフレームとそこにはめ込まれたガラスは、細かな切子面を持つダイヤモンドのようです。装飾を抑えたシンプルで滑らかな形はモダンでありながら、優美さも兼ね備えており、正方形を基調としたサナトリウムの建物全体と調和していたことが想像されます。