Collection

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ヤニス・クネリス (やにす・くねりす)

[1936 - 2017]

無題 [1986年]

  • 麻袋、鉛、鉄
    200.0×542.0cm

[音声ガイド]

折りたたまれた麻袋が鉛の板で固定されています。鉛の板は鼻筋と輪郭のみながらどこか人の顔のようで、金属の表情もあってそれぞれに個性的です。 鉛のパーツが人の顔の輪郭だとしたら、折りたたまれた袋はなにを意味するでしょうか。袋は本来、物を外側から包むものなので、これもまた輪郭のようなものかもしれません。しかし荒い糸で編まれているところに注目するとその袋も違って見えてきます。日本語でも「経緯」や「心の綾」といったときに糸偏を用いるように、編みこまれた糸は時間の流れや一言では言い切れない複雑な感情の起伏を想像させます。断片的にしか見ることのできない文字もその印象を強めます。 「現実はとかく強迫観念的だ」と語りながら自由で動きのある生を望むヤニス・クネリス。冷徹かつ夢想的な、矛盾をはらんだ彼の人間観が示された作品です。

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