[音声ガイド]
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見るものを包み込んでしまいそうなほどの大きな画面。日高理恵子は、日本画の画材を用い、樹々を下から見上げた独特の構図で描く作品で知られています。そのモノクロームの絵画は、樹の枝や葉、ひとつひとつを凝視しては描きこむという気の遠くなるような反復行為によって生みだされたものです。「一番描きたいのは“空(そら)の空間”かもしれない」と作家が語るように、彼女の関心は、測りしれない距離や奥行きが存在する空(そら)の空間を、樹々の枝や葉を通じて探っていくことに向けられているのです。頭をそらせて樹を見上げたときに感じる、あの揺らぐような感覚。そうした身体のリアリティが、日高の絵画空間には深く刻まれているのです。