死ゲル [2021年]
[音声ガイド]
鮮やかな色彩のニンジン、ナス。頼りなく湾曲したキュウリに背の反った魚とエンドウ。棒のようなものは家具のパーツでしょうか。脈絡のないモチーフの組み合わせが表しているのは、まさかとは思うものの漢字の「死」の字のようです。 長谷川は、日本人である自分が西洋からの借り物である「絵画」をいかに描くことができる かに苦悶し、独自の表現を追求してきました。西洋のバロック時代の静物画には「メメント・ モリすなわち死を思え」の意味もありました。しかし、この作品では絶妙にズレたモノが組み 合わされています。文字通り「死」を描いた長谷川の絵には、悲哀とユーモアとさらなる跳躍 があるといえるでしょう。この作品はまた、一時期発表を中断し、画家としての死を経験した 自ら、つまり「繁(死ゲル)」の自画像でもあり、発光するような明るい画面には、その死からの再 生をも読み取ることができるでしょう。
タイトル無し [1998年]
[音声ガイド]