[音声ガイド]
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重たそうな金属の塊がロープによって宙吊りにされています。近づいてみると、ロープは金属の表面に埋め込まれていて、それは何かの文様をかたどっているように見えます。左からその形を辿れば、意味は分からずともアルファベットで「odio」と綴られていることに気付くでしょう。イタリア語で「憎しみ」という意を持つ言葉です。 それにしても、ロープを金属に打ち込むのに、いったいどれほどの回数、ハンマーを叩きつけたことでしょう。精製されて形も整えられていたはずの塊が、荒々しく変形しています。その行為はまるで、「憎しみ」を金属の塊に充填するためであるかのようにも思えてきます。宙吊りにされた「憎しみ」は、いつ落ちるやも知れぬという物理的緊張感を孕みつつ、精神的なストレスをも生み出しているようです。