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たくさんの引き出しと仕切り棚のある頑丈そうな事務机です。下の方に目をやると、椅子が机と一体化しているのが分かるでしょう。椅子は、前後に動かして出し入れができ、回転もします。建築家フランク・ロイド・ライトは、せっけん製品の通信販売会社ラーキン・カンパニーの依頼を受けて、新しく天窓から明るい光の差し込む、5階建ての吹き抜けの社屋を設計しました。そこであわせてデザインされたのが、これらの事務机や椅子です。従業員に勤勉さを求めると同時に、そのためには健康的で快適なオフィス環境を整える必要があるという経営者の思いに応えて考えられたものでした。最新のオフィスにふさわしくスチールを素材に用いる一方で、焦茶と薄茶色の二色を絶妙に組み合わせ、細部に格子模様をあしらうなど、ライトらしい装飾が添えられています。
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精緻で繊細な線が魅力的な建築図面です。ライトは1910年から11年にかけて故郷アメリカを離れ、イタリアのフィエーゾレに滞在しました。その間に、初期の建築図面から100点をリトグラフにし、ドイツの出版社エルンスト・ヴァスムート社から作品集にして出版したのがこの作品です。 この時期の図面の多くは、事務所のスタッフのマリオン・マホニーが手がけたとされます。ライトは、息子ロイド・ライトと製図家テイラー・ウーレイと共にそれらをトレースし、より簡潔な線でまとめあげました。 ライトの建築はヨーロッパでは一つも実現することはありませんでした。しかし、早い時期に出版されたこの作品集によって、彼の建築思想は知られるところとなり、ヨーロッパの若い建築家たちにも大きな影響を与えることになりました。
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