Collection

コレクション

藤田 嗣治 (ふじた・つぐはる)

[1886 - 1968]

美しいスペイン女 [1949年]

  • 油彩、カンヴァス
    76.0×63.5cm

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黒いドレスとベールを身にまとった、物憂げな表情の女性が目を伏せ気味に静かに佇んでいます。透け感のある布地の肩が大きく開いたドレスは、女性の白く滑らかな肌を美しく際立たせています。乳白色の下地と面相筆による細く鋭い墨線は、1920年代から藤田が独自に編み出した彼の代名詞といえる技法です。 この作品は、第二次世界大戦が終わり、藤田が自らの人生で最も活躍したフランスに戻ろうと、ビザを取得するため滞在したニューヨークで描かれました。ニューヨークにはない南欧風の建物や石畳みを、画家はどんな思いでこの絵に描き込んだのでしょうか。 この絵で見るべきところがもうひとつ。額も藤田が自分で作ったものです。そこに彫られたモティーフの素朴な風合いは、端正な画面と不思議に調和しています。

キヤンボシヤ平原 [1943年]

  • 油彩、カンヴァス
    40.8×53.0cm

[音声ガイド]

「キヤンボシヤ」とはカンボジアのことです。しかしこの作品では熱帯地方らしい陽気は感じられません。木々の間を轍の残る道が通り抜けるほかは人も動物もいない、大地と空ばかりの光景が薄暗く描かれています。 藤田嗣治は1920年代からパリの美術界で活躍した画家です。第二次世界大戦がはじまると陥落寸前のパリを脱出し日本に帰国しました。帰国後もその言動は常に注目され、1941年にはカンボジアを含む仏領インドシナを訪れるなど文化使節の役目を担いました。 仏領インドシナには1943年にも再び訪れる予定でしたが、戦況が悪化したためかなわなかったといいます。藤田の当時の心境が投影されているのか、寂寥感の漂う作品です。

自画像 [1943年]

  • 油彩、カンヴァス
    23.0×15.0cm

[音声ガイド]

口をむすび、硬い表情でこちらを見つめる男性。その顔は暗い影に包まれています。左下に書かれた数字「2603」は戦前の日本で用いられた暦で、西暦で言えば「1943年」、つまり太平洋戦争のさなかです。その上に並んだ2つの「1」は、「1月1日」を意味しています。作者の藤田はこの年の元日から皇居を訪れ、帰宅後にこの作品を描きました。トレードマークのふちの丸いメガネはそのままですが、おかっぱ頭は短く刈り上げられていて、パリでの華やかな活躍は遠い昔のことのようです。 この時期、藤田は戦地と日本を行き来しながら、軍部に協力した「戦争画」の制作に取り組んでいました。厳しさを増す戦況を前に、彼は何を思ったでしょうか。

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