Collection

コレクション

ダニエル・スペーリ (だにえる・すぺーり)

[1930 - ]

テーニャの16の廃品、変調 [1969年]

  • ミクストメディア
    110.0×105.0×10.0cm

[音声ガイド]

スペーリは、1960年代にフランスで起こったヌーヴォー・レアリスムの作家です。新しい (ヌーヴォー)写実主義(レアリスム)とは、ものごとを本物らしく描き出す旧来の写実 ではなく、現実の事物をそのまま作品に持ち込んだものと考えれば、この作品に近づきや すくなるでしょう。 黒い背景の板の上に、升目の並びが崩れたように小ぶりの板が配され、それぞれにゴミ箱 の中身が貼り付けられています。不要となった廃品の一つひとつが、見る人にそれらが捨 てられた状況を意識させ、また、捨てた人物の日常生活をも想像させます。一方、大小の 黒い正方形を細分化、重層化する画面構成は、全体にリズムを奏でているようです。前衛 的な概念による緊張感と伝統的な構図による安定感が絶妙なバランスを作り出しています。

レストラン・シティ・ギャラリー [1965年]

  • ミクストメディア
    135.0×135.0×34.0cm

[音声ガイド]

バレエ・ダンサーにして詩人、そして造形作家。スぺーリはさまざまな分野で鬼才を発揮 しました。この作品はチューリヒのギャラリーで催された晩餐から生まれたもので、「罠 絵」と名づけられたシリーズのひとつです。スペーリは料理の腕も確かで、友人知人を招 いてもてなしますが、宴半ば、突如飲食の中止と離席を客人に求めます。パン、ナイフ、 ボトルなどが乱雑に残されたテーブル。スペーリはすべてをそのまま接着剤で固定して、 板絵のように壁にかけてしまいます。この宙吊りの状況、機能を失った剥き出しのモノの ありさまを、私たちはどう呼ぶべきでしょうか。スペーリはこう語ります。「 罠絵を芸 術として見ないでください。それは情報であり挑発です。普段まったく見ていなかった領 域に目を向ける方法なのです」。

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