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3つの小屋の内側は、それぞれ赤、黄、青。外側はいずれも鏡張りになっています。まわりを見渡してみると、原色の色彩とともに、さまざまな景色が同時に目に入ってきます。美術館の建物だったり、その内部だったり、あるいは庭園の緑だったり。それぞれの小屋の四方には、飛び出した扉のようなものが立っていますが、ちょうどそれと同じように、いろいろなものの外側と内側が、鏡をとおして出たり入ったりしています。 作者のダニエル・ビュレンは1960年代の後半から、美術館のなかだけでなく、街のなかでも作品を展開してきました。豊田市美術館のために制作されたこの作品では、谷口吉生による建築の規則性を読み解き、その内と外と混ぜ合わせ、新鮮な空間体験を生み出しています。
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この8.7センチ幅のストライプは、何かを意味しているというより、作品が置かれた空間や場に意識を向けさせるための「目印」です。ダニエル・ビュレンは、人の視線を強く引きつけるストライプの機能に注目し、作品に取り入れたのでした。1960年代後半には、街頭のポスター掲示板や壁に同じ幅のストライプの布や紙を貼ることで、美術館に留まらず、ふだん生活する空間へと展示を拡張しようとしました。 この作品では、白いアクリル絵の具が不定形を形作っています。さらに、壁に掛けるのではなく、壁に立てかけることが想定されています。この《定まらないフォルムの絵画》は、絵画であって絵画ではない「定まらない」あり方で、美術館の空間に作用します。