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この作品は、《酒宴》と題された装飾パネルの下図のひとつと考えられています。細長く 伸びた女性の身体が優美な楕円の弧のなかに収まっていて、マッキントッシュらしいデザ イン性の高さがみてとれます。 当時のグラスゴーではティールームが流行で、マッキントッシュも女性実業家キャサリ ン・クランストンの依頼を受けて、イングラム・ストリートにあるティールームの各部屋 の内装を手掛けました。装飾パネルは、その際、白くペイントされた女性用ダイニング・ ルーム、通称「ホワイト・ルーム」の壁に設置されたものです。向いの壁には妻となる マーガレットが手がけたパネル《五月の女王》があり、それぞれ死の冬と春の息吹を表し、 全体として巡りゆく季節と生命のサイクルを成していました。
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マッキントッシュは、グラスゴーにあるアーガイル・ストリート・ティールームの改装の依 頼を受け、全体プランから各部屋の装飾と家具デザインまでの全てを手がけました。この 椅子は、その際にダイニングルーム用に作られたもので、マッキントッシュの代名詞とい えるハイバックチェアの最初の作例にあたります。カシの木の重厚な素材感に対して、空 を飛ぶ鳥を透かし彫りにした楕円形の笠木と、床へと真っ直ぐに伸びるスリットのある背 板が、軽やかな優美さを与えています。 頭上まで伸びる背もたれの支柱は、ダイニングルーム全体のリズムを整え、笠木は食事中、 周囲からの視線を遮る効果もあったでしょう。マッキントッシュはこの椅子を気に入り、 同じものを自宅のダイニングルームでも使用しました。