[音声ガイド]
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水平に走る三色の色の帯が、抽象絵画のようでありながら、同時に地平線の情景などへと 連想を誘います。 とはいえ、これは三色の布を縫い合わせただけ。いかにも即物的です。大量生産された日 用品の布をそのまま見せる手法には、「カンヴァスに油彩」といった伝統的な絵画の形式 に対する皮肉めいた姿勢をうかがうこともできますが、それは表向き。作家はここで、物 質がイメージへとかわる、そのぎりぎりのところを探ろうとしています。街中で普通に手 に入る布を選んだのもそのため。ただの「物」であり、かつ「商品」ながら、純粋な 「色」でもある、そして「色」でありながら「イメージ」でもある、さまざまな境界を揺 さぶる絶妙なバランス感覚がパレルモの特徴です。