[音声ガイド]
ポモドーロは、1962年に高さ6メートルにもなる円柱型の彫刻《旅人の柱》を制作すると、 その後3年間にわたりこの連作に取り組みました。この彫刻も、そのうちの一つにあたり ます。それまで、レリーフのような絵画的な彫刻を手がけていたポモドーロにとって、厚 みやボリュームを持った「旅人の柱」は、後の作品を方向づけるものになりました。 ポモドーロは、「旅人の柱」について、「それは、空間を発見したいという欲望を示して います。旅人は、世界(ユニバース)の新たな征服者なのです」と述べています。この言 葉通りポモドーロは、光を反射する、つるつるとした表面と、ごつごつとして黒みが かった内部という相反する表現を組み合わせることで、彫刻に動きを与え、空間を生み出 そうとしているのです。