[音声ガイド]
口がずっと動いています。なかには小石がいくつか入っていて、拷問のようにも、カメの産卵のようにも見えますが、いつまでたっても小石がこぼれ出ることはなく、口はずっと動き続け、小石に触れ続けています。 ハミルトンは「触れること」が大切だと言います。なぜならそこにはかならず触れるものと触れられるものの相互作用があるからです。言葉を発するときに空気を震わせる私たちの口の動きは、実のところ、その受け手にも作用する造形行為なのかもしれません。 タイトルの「アレフ」はヘブライ語の最初の文字のこと。それは声を発しようとするときに声帯から漏れ出る音に由来するとも言われています。壁に埋め込まれたこの映像をじっと見ていると、声や言葉が生まれたはるか昔のことに、そしてそれらが持つ「造形力」について思いを馳せることになります。