Collection

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アリギエロ・ボエッティ (ありぎえろ・ぼえってぃ)

[1940 - 1994]

ALIGHIERO BOETTI [1975年]

  • インク、紙
    70.0×100.0cm

[音声ガイド]

青いボールペンによる細かな線でびっしりと塗りつぶされた背景から、白いコンマが浮かび上がっています。その点をアルファベットと交差させながら順に読んでいくと、「ALIGHIERO BOETTI(アリギエロ・ボエッティ)」、つまり作家の名前だとわかります。作品が完成した後に書き込まれるサインは、その作品が誰のものであるかを明らかにし、作品の価値を定めるものですが、ここではパズルのように作品を読み解くことでサインが見えてきます。ボエッティは、このような遊びを介して、「誰が作品を作るのか」ということを解体しようとしました。記号や言葉の単純な原理をゲームにした本作の鑑賞者もまた、制作者なのです。そして問うのです、「作者とはだれ?」と。

ONONIMO [1972-73年]

  • インク、紙
    各70.0×100.0cm(11枚組)

[音声ガイド]

青のボールペンで端から端までびっしりと塗り込められた画面。技法的には、平行する線を何本も重ねて描いて面や影を表現するハッチングと呼ばれるものですが、画面全体に用いられ、もはや本来の使われ方から逸脱しています。しかも、同じようにして描かれたものが11枚もあります。 タイトルのONONIMOはイタリア語のOMÒNIMO(同名異人)とANÒNIMO(作者不詳)という二つの言葉を組み合わせたボエッティの造語です。この時期のボエッティは、作品を他者へ委託して制作する手段を多用していました。 ボエッティという名のもとに、匿名の誰かによって描かれた、ボールペンによるほぼ同じ11枚の作品。そして本来の使われ方から外れた技法。作品と作者の関係、制作に関する固定観念など、伝統的芸術観に再考を促す作品です。

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