豊田市美術館 (Toyota Municipal Museum of Art)

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常設展

常設展

第Ⅳ期

2009年1月6日[火] ~ 3月29日[日]

展示1 展示1


トニー・クラッグ

イギリス人彫刻家、トニー・クラッグの作品を展示します。クラッグは、日常にある様々な素材や物を用いて、現代社会の諸相や、私たち人間の身体に眠る生命感覚を表現してきた美術作家です。例えば最初期に発表された《スペクトラム》(1979年)では、彼が街角や川岸で拾い集めた様々なプラスチックの破片や部品が、虹の7色の順に並べられています。クラッグは、プラスチック自体に手を加えることなく、ただ床の上に並び替えることで、社会の中で無用とされていた廃材を、色鮮やかな絵具として蘇生させたのです。身近な素材を単純な方法によって、日常とは異なる次元のものへと転移させる表現は、作品を通して新しい世界の捉え方を提起する美術の力を端的に示すものといえるでしょう。
一方、《スパイロジャイラ》(1992年)は、使い古されたワイン・ボトルを使って、顕微鏡で捉えたアオミドロ(スパイロジャイラ)の姿を形づくった作品です。池などでよく見掛けるアオミドロは、緑藻の一種で、細胞内の葉緑体が螺旋状に連なっています。クラッグは、8億年ほど前の太古の地球に出現し、現在も淡水に棲むこのアオミドロの姿に、永い生命進化の時間を思い浮かべたようです。「スパイロジャイラは、生命の進化の歴史のかなり早い時期に登場し、現在でも生き続けている生き延びる術に大変長けた」生物であると彼は述べています。
このように、日常の中の広範な素材を用いて、容器、建造物、そして生命体などの形を複合的にイメージさせる彼の作品からは、物質と生命、無機物と有機物など、日常の中で固定化された領域の区分を疑い、私たちの世界を物質や形の成り立ちから再考しようという姿勢が窺えます。展示室では、最初期の《スペクトラム》から1990年代までのインスタレーション、彫刻、立体、ドローイングを紹介します。

(北川)


*トニー・クラッグ(1949年リバプール生まれ‐ドイツ・ヴッパータール在住)。イギリス現代美術界を代表する彫刻家。2009年2月7日よりケンジタキギャラリー(名古屋)にて個展を開催、新作を発表する。

作家 作品 制作年 技法、素材 寸法
トニー・クラッグ スペクトラム 1979年 プラスチック 250.0cm×500.0cm
トニー・クラッグ スパイロジャイラ 1992年 ガラス瓶、スチール 220.0×220.0×220.0cm
トニー・クラッグ 無題(棚に置いた
5本のボトル)
1982年 プラスチック・
ボトル
26.0×60.5×11.0cm
トニー・クラッグ 乳鉢と乳棒 1987-88年 ブロンズ 160.0×80.0×90.0cm
トニー・クラッグ 分泌 1996-97年 骰子、
ガラス繊維、
ポリスチレン
246.5×235.0×110.0cm、
145.0×268.0×205.0cm
トニー・クラッグ 無題 1996年 鉛筆、紙 42.0×42.0cm(18点)

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